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時代の息吹 Ⅱ

 この時代の若々しい息吹ということを第96話の感想で書かせてもらった。それは若い将軍家治と田沼の登場によるものだというような主旨であった。しかし今回話題に上った天才平賀源内について調べていると、杉田玄白や前野良沢などの人物名が芋づる式に出てくる。ああ、そういう人たちもこの時代にいたのだ、と。それは、与謝蕪村や池大雅らの俳諧や写実画における世界でもそうなのだが、時代そのものがいろんな分野で何か新しいもの、新しいものの見方を求めているということの現れのようだ。今、紅葉山文庫へ収蔵された唐本一万巻をはじめとして、長崎出島を通じて入ってくる中国や特にオランダからの西欧流の自然科学的なものの考え方や物品のもつ影響力が一気にこの時代に発揮されようとしている。家治と田沼がそういう時代を更に切り拓いたといえるが、逆に時代そのものにその時代に必要とされる人物を輩出させる力が潜在しているようでもある。
(第110話の感想)
by kpage | 2005-08-07 11:29 | ■花はさくら木の感想