人気ブログランキング | 話題のタグを見る

べらぼうめ・・!

 彼らの代では生まれも育ちも江戸であったかも知れない。しかし紀州藩士の御庭番が『べらぼうめ、・・』と普段から実際にまくし立てていたかどうか。彼らの職務柄、住居や他との付き合いはかなり制限されていたようだ。しかし、職務柄いろんな地方の言葉や訛りを習得する事は、自身の身を守るという意味からも必須だったと思われる。実際の御庭番としての本来の隠密任務はそう再々あるものでもなかったようだが、ただ11代将軍家斉は30回ほど使ったらしい。確かに多いのであるが、在位50年余りと長期政権だった事にもよる。通常、1代平均2~3回ほどだったらしい。
 ただ、御庭番にしろ、禁裏小番にしろ血気盛んな若者(一般には天皇の近習の公家の武術稽古は宝暦事件後禁止されてはいたが)が中心であるから、鍛錬に励めば励むだけ、やはり腕も鳴って仕方がないのである。
 御庭番の彼らとしては絶好の暇つぶしのからかい半分であったのだが、相手が悪い。当日の禁裏小番は朝廷の執行中枢部を占める公家の子弟らであった。このまま行くとすればばいかなることになるのか。そんな事態が待っていようとは知る由もなく、仙洞御所を後にし、彼らの方へと足を進める田沼と広橋だった。(第65話の感想)
by kpage | 2005-06-22 10:27 | ■花はさくら木の感想