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衣ずれの音

「御側御用取次」、確かに一体何なのか、位も偉いのやら、どうなのやら訳のわからぬ名称である。わざと分からないようにしているというのが正直なところだろう。位としては老中と若年寄の中間くらいだったらしいが、将軍の最も近いところにいて、将軍の命を老中などに伝えるため、実質的な権勢は非常に大きかった。ただし、正式の職位でもないことから、さすがの青綺門院も、『ぶしつけな。何ですか、そのオソバトリツギとかいうのは』と、若干お怒りにもなるわけである。しかも、胸の刺し込む痛みは去らずで・・。
ただ、私としては分からぬのが52話の3分の1を占める疣(イボ)談義である。これも何かの伏線なのか。青綺門院の胸の痛みと関連のあることなのかどうか。少々計りかねている。
さて、青綺門院はぐっと痛みをこらえ気持ちを据え、一人で立ち上がり自らも下りて行く。新しい足音、新しい衣ずれの音も下から近づいてくる。その音に彼女は思う。『若々しく、かつ端正で、禁裏から絶えて久しいひびきだ』。青綺門院の夫、桜町上皇は彼女が35歳の時31歳の若さで没している。その青綺門院は今45歳、田沼意次は42歳。彼女が若々しいと感じたのも無理からぬことである。痛む胸を少しときめかす青綺門院なのだろうか。それにしても、足音、衣ずれの音が端正であるとは、知らす方も分かる方もなかなかである。(第52話の感想)
(上記の青綺門院、田沼意次の年齢は1761年(宝暦11年)から各生年を単純に引き算してみた数値である)
by kpage | 2005-06-08 21:39 | ■花はさくら木の感想