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田沼意次登場

 今日になってやっと6月1日~4日分をまとめて読むことが出来た。第45話で智子が布団の中で菊姫にふと思いついたように呟いた。『このまますり替わりをつづけましょうか』 なおも冗談とは言え食い下がる智子に菊姫は黙るしかなかったが、そこまで自分のこれからの人生に悲観を感じつつも自分のためにキューピット役を演じてくれた智子に友情が深まるのを感ぜずにはおれなかっただろう。
 北風荘次郎が機転を効かしている最中に、娘二人が無事戻り、北風、御所サイドはこのかどわかし事件については一旦収まりを見せてはいた。が事件の意外に奥深かさを敏感に感じ取る北風荘次郎の胸騒ぎはどう展開を見せるのか、と思いきや、いきなりの田沼意次(たぬま・おきつぐ)の登場であった。
 田沼意次といえば賄賂政治の代表格、大悪人。中高生の頃の日本史では、田沼時代を正に暗黒時代のごとく習ったような気がする。多分大方の皆さんもそういうイメージを持たれていたのではと思う。ただ、近年そんな風に定着してしまっていた田沼像にいろいろと変化が起こっていることは確かなようだ。だからといって善人だったとは思わないが、それまでの財政の根本を農業と年貢というものから、商業に重きを置いたものに変革したかったという事であり、その意味では希代の改革者といってもいいかもしれない。ものは見方ということではある。ただ、いわゆる袖の下は横行していたらしいが、当時の政治には当然の付き物みたいなものだったようにも言われているし、とくに一般庶民が圧政に苦しんだというわけでもないようである。商業に関しては、今風に言えば規制緩和でより自由な商業活動が許されたようでもある。
 むしろ庶民は田沼時代の後の松平定信の寛政の改革で、倹約、倹約と庶民にも強く求められ、かえって自由な田沼時代を懐かしむ風潮もあったようだ。その当時の有名な川柳にこのようなものがある。昔、歴史の教科書にも載っていたような記憶がある。
      「白河の清きに魚も住みかねて、もとの濁りの田沼恋しき」
川柳の言わんとするところは分かっていただけると思う。
 舞台がまた大きく変わる。話の続きを楽しみにしたいと思う。
(第45~47話の感想)
by kpage | 2005-06-04 22:39 | ■花はさくら木の感想