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思考の限界

「香山教授の紙上特別講義」第2回目の感想。第2回目のタイトルは「対人関係・・自分を安全地帯に置き、心理的距離を取ろうとしているのを感じます」 だ。教授は何か大きな事件が起きると学生にその事件をどう受け止めたかをリポートに書かせるらしい。多くの意見は「厳罰が必要」、「こういう人間を排除するには・・」というのが大勢らしい。
結果的には学生は第2回目のタイトルの通り、自分を安全地帯に置き、心理的距離を取ろうとしているのである。心理学で「防衛」というらしい。個性だ、個性だといわれ続けて来て、それ以上に価値観の多様化してしまった今の社会である。自分に自信が持てないし、どうやって生きていけばいいのか、社会の中での自分の身の置き所を見失うのだ。勢い引きこもりに走る者も出る。一方で自分が人にどう思われているのかは非常に気になる。「厳罰が必要」、「こういう人間を排除するには・・」はこういう背景からでた正直な気持ちだろう。しかし、問題は思考がそこで終わることであろう。物事を深く掘り下げて考えるのはとてもエネルギーのいる大変な作業である。昨日、「根本原因は何だろう」という記事を書かせてもらった。犯罪や問題の直接的且つ表面的な原因の究明と、その対処療法的措置は、また同様の問題があまり期間をおかず発生するの防ぐ。だが、もう一歩踏ん張って問題の背景を探る習性を磨かねばと思うのである。
教授は若者がインターネットなどの発達でバーチャルな世界に没頭するようになり、現実の出来事から苦もなく離れる(逃げる)事が可能になったことをあげ、自分とは違う価値観の人や出来事を受け入れて考えるエネルギーが衰退しているのではと指摘している。正に同感である。
今日、流行語のように耳にするニートは仕事のみならず若年期にこそ大切な学習の機会さえも奪っている。2010年だったか、ニートといわれる人口が100万人を超えそうだという。
問題の解決は一朝一夕では出来るものではないが、家族やご近所同士の些細な会話からはじまるような地道な積み重ねが結局必要だと思う。人と人が面と向かって話をするコミュニケーション、これが一番大切だ。こんなブログよりもね。でも、また見てね。
by kpage | 2005-05-15 23:16 | ■紙上講義感想