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2005年 04月 30日
青井三保を京へ使わした幕府中枢の人物が今は誰だかは分からない。だが人間性までは分からぬにせよ、非常な先見の明を持ち、相当な豪胆の持ち主である事は分かる。ご存知先々代吉宗公も名高い改革者ではあったが幕府の財政の建て直しは容易ではなかった。既に経済の根本が米から金へ移行し始めていたのだ。当時大坂は日本のあらゆる物資の7割を、しかもそのうちの8割を鴻池が握っていたらしい。
老中たちにこんなことを話しても無駄さと、彼は若い青井三保こう続ける。
『さて、そこでだ。それがしは鴻池と組もうと思う。鴻池と組んで、大坂に強力な中央銀行をつくる。幕府が銀行をつくっておかしいだろうか。・・・』と。う~ん、今日この頃の話かと私は目を疑った。
どこまでが史実に基づくのか空想なのかは分からないが、政治の世界は何時の世も変化を拒み権益を守ろうとするものと、それを打ち壊し新しいより良い仕組みに改革していこうとするものとのせめぎあいである。
私は長年イズミヤという中堅流通業界に身を置いていた。創業者和田源三郎氏が社の信条と定めた一文「創業者の言葉」というものがある。同社ホームページ上でも閲覧できる状態なので紹介するが、
『商売の起源は物と物との交換よりはじまり、売り手も買い手も満足しあったのがその起こりで、利益のため商売するのは本筋ではありません。イズミヤはお客様より満足して頂く事を唯一の使命と心得て、常に品質に、値段に、お客様の身になって研究努力せねばなりません。・・・』と。
奇しくも、青井三保のこの上役は彼を京へ使わす前にこう言った。
『富というものは、米でも金銀・財宝でもなく、暮らしに必要なものと暮らしに便利なものの豊富さののことだ。それを作り出すのもには何か。農民と商人の年々の労働だ。貴いのは人間の労苦と骨折りである。武士も例外ではない。』と。
要は、庶民の暮らしに必要なものと、暮らしに便利なものの豊富さを作り出す為に、皆が自分の置かれているどんな立場でもいい、自分なりにそのためにどう不断の努力をしているのかということである。わが身のみの利益を守ろうとするところにおかしなことが起こる。現代でも同じである。農民の労働に胡坐をかく武家社会の改革はこれからどう進んでいくのか。一方で気になる「忍ぶ恋」の行方は。
by kpage | 2005-04-30 14:32 | ■花はさくら木の感想
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