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2005年 04月 27日
2~3回分も読めば飽きてしまうだろうと思っていたが、もう11回分も読んでしまった。でもそろそろかな。
さて、当時日本ではあまり見かけないであろう洋装束の男の素性も、危うくもこの男を切った若い武士の素性も、いずれもまだ定かでない。が、この若武者は人を切ったのはこれが初めてだった。小説の筋書をここでは紹介するつもりは毛頭ないので興味をもたれた方はどうぞ朝日新聞の朝刊を買い求めて欲しい。武士は人を切ることが専門職(と私は勝手に思い込んでいる)で常にその覚悟と技量を確固とする為の精進を日夜積んでいるものと私は心得ていたが、初めて人を切ったこの若武者の心中の吐露にはっとするものがある。
少し引用させてもらうと、『おれは人殺しだ。その考えが若者の心臓の上に重くのしかかる。唇は苦い微笑でひきつっていた、主君の為、王座のきざはしで命を捨てることは武士の定めと心得ていても、人の命を奪うことはまた別である。ふたつのあいだには、頭が焼き切れるほど考えてもこえることのできない深淵がよこたわっていた』のである。
自分の存命の為とはいえ他人を殺めた彼の苦悩がひしひしと伝わってくる。正当防衛なら人を殺しても良いなどと決めたのは人間のエゴ以外の何ものでもない。死刑も同じようなもの。実に勝手な話だと私は思う。多分、必要悪なんだよと言われる方々は多いと思う。
この世ではわが身を投じてわが子を守る母の愛が、「最上の愛は人のために命を捨てること」を自ら十字架に架かり私たちにそれを示してくれたイエスキリストの愛に、一番近いものだろう。無償の愛を論じているのではない。上手く説明できないが、要は自分は何の為に生きているのかということだ。
「俺は命を誰のために?」、「お前は命を誰のために?」イラクでもパレスチナでもどこでもよい、対峙する二人の兵士が共に脳裏に何度もそう自問しているに違いない。今、この瞬間にも。そして、いずれかの兵士が、あの若武者のように乾いた唇にひきつる苦い微笑を感じるに違いないのだ。人は弱い、だから慣れる。それが怖いのだ。
by kpage | 2005-04-27 10:37 | ■花はさくら木の感想
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