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ちはやふる奥の細道

ちはやふる奥の細道_a0006954_1565783.jpg メタボラは今日で54話目を数える。昨日の53話から第2章に入った。入った途端、物話の語り主がそれまでの『僕』から、『僕』と行動を共にしている『おいら』に替わった。さてこれは主人公が替わったということなのか。この先、また他の誰かに替わることがあるということなのか。複数の主観を交錯させながら一つの話を俯瞰するという組み立てはとても面白い。
 面白いといえば、昨年末に古本屋で買った 『ちはやふる奥の細道』(小林信彦著1983年発行) という本が今手元にある。実はまだ少し読んだだけで、そのうちにと積読しているのだが、この本全体の構想が面白い (もちろん個々の内容もだが、そもそもが河村要助氏の装画に惹かれて買ったまでだ)。
 この本はW・C・フラナガンという、かなりトンチンカンな知日家の米国人の著書 (ROAD TO THE DEEP NORTH) を小林信彦氏が翻訳したというのが建前なのだが、このW・C・フラナガンという人物は全く架空の人物で、実は小川氏自身の創作による小説だったのである。私はそうとは知らずに読み始めたのだが、そのあまりの勘違いにこれは何かあるなと、早速巻末の『作者ノート』というのを読んでやっと事情を理解した。
 『 ワビとサビは(日本人特有のあいまいさゆえに)、ワビ&サビ、という風にいっしょに用いられることが多い。それどころか、ときには、<ワサビ>という形で、一つに括られてしまうことさえある。 』 など、その勘違いは並みではない。
by kpage | 2006-01-22 15:11 | ■書籍・雑誌